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2020年の亜細亜大学国語(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の大問2問2を見ていきます。
松浦理英子「共同浴場都市パリ」からの出題で、「パリ派」と「アンチ・パリ派」の対比で文章が構成されています。
筆者がどういう理由でどちら側の立場なのかをまずは理解し、出てくる具体例がそれぞれ「パリ派」の例なのか「アンチ・パリ派」の例なのかを振り分けしながら読み進めてください。
問題をお手元にご用意ください。
現代文唯一の公式=読解の3ステップ
必ず次の3ステップで読むことを忘れないでください。
まずは読解ナビを穴埋めしていきましょう。
2020年亜細亜大学国語(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)のテーマ・二項対立・筆者のポジション
第一段落で読解ナビの穴埋めが完成します。
なぜならこの問題は穴埋め問題であり多くの空欄があります。
出題者は第一段落でこの文章の構造を提示し、その構造に従ってそれぞれの具体例を受験生が正確に(筆者側・筆者でない側)に振り分けられるかを聞いているのです。
一文目に「パリという街」に対して「パリ派」と「アンチ・パリ派」の存在が書かれています。
テーマはパリ、対立軸はパリ派とアンチ・パリ派です。
読解ナビ
1 本文のテーマはパリである。
2 テーマについて(パリ派)と(アンチ・パリ派)がある。
筆者のポジションはどちらでしょうか。
第一段落最後に「世の多数派に与する」とありますので筆者は「数の上で優勢(二文目)」な「パリ派」に属します。
読解ナビ
1 本文のテーマはパリである。
2 テーマについて(パリ派)と(アンチ・パリ派)がある。
3 筆者は( )だから(パリ派)である。
なぜパリ派なのかは第一段落では述べられていません。
それをこれから筆者が具体例などを用いながら説明していきます。
ただし、この問題は読解ナビ2の振り分けが出来ているかどうかを問うている問題なので、問題を解くうえでは筆者がパリ派である理由は空欄のままでも構いません。
読解の練習として後で埋めていきたいと思います。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄A
Aはパリ派のことについて説明している単語を入れます。
パリ派はパリのことが好きなのですから、ポジティブな心理を表す単語を探してください。
7 魅力的が正解です。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄B
Bはアンチ・パリ派のことについて説明している単語を入れます。
アンチ・パリ派はパリのことが嫌いなのですから、ネガティブな心理を表す単語を探してください。
9 冷眼視が正解です。
15 邪推と迷った方がいるかもしれません。
邪推も確かにネガティブな単語ですが、「何かを推測する」場面ではありません。
パリのことを嫌いだという目で見ている冷眼視を選びましょう。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄C
Cは単語の意味を聞いている問題で11 逗留が正解です。
こればかりは漢字問題と同じで単語を知らないと解答できませんが、他に「パリに滞在すること」を表す単語はありませんので、消去法でも正答にたどり着くことができます。
私立大学の入試問題ではこのように長文読解と見せかけて単語や漢字を聞いてくる問題が頻出します。
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2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄D
ここは具体例の中でパリとパリ以外の都市(ローマやフィレンツェ)が対比されている箇所です。
筆者はパリ派なので、パリが好きな理由を説明している一節です。
ローマやフィレンツェにはインパクトが大きいものがあると書いてありますので、パリについてはインパクトのあるものが無いという意味になるように検討します。
目玉となる「名所」が無ければインパクトが無いので、13 名所が正解です。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄E
パリ派である筆者がアンチ・パリ派に対して言及している箇所ですね。
反対派へ言及するのですから、ネガティブな考えを表明します。
邪=ネガティブに推=推測する15 邪推が正解です。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄F
「パリはぬるま湯だ」から始まる第四段落にはなんと3つも空欄があります。
それだけ本文全体にとって重要なポイントとなる段落だということでしょう。
一つ前の第三段落で筆者はアンチ・パリ派の「パリの連中は高慢で冷淡だ」という意見を否定しました。
対となる表現は「パリ市民は明るく親切」でした。
「ぬるま湯」という表現はいずれに入るでしょうか。
熱すぎもせず冷たすぎもしない湯温度であればゆっくりと浸かっていることができますね(個人の湯加減の好みはさておき・・・)。
であれば「パリ派ぬるま湯=現地に溶け込むことができる」ということなので筆者側、つまり筆者がパリ派である説明をする箇所です。
ですから先のドイツ人画家の発言に同意を示している1 納得が正解です。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄G
「パリの(空欄G)は温かく肌触りがよい」と引き続きパリ派としての意見が述べられています。
ドイツ人画家は「ぬるま湯」という表現を使いましたが、これを筆者が別の表現で言い換えています。
街中に実際にはお湯はありませんから、3 空気が正解です。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄H
こちらは単語力問題です。
「パリの空気は温かい」というのは実際の気温のことではありませんよね。
人々が明るく親切であることを喩えて=レトリック(比喩)そう言っています。
5 レトリックが正解です。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄I
空欄Iと空欄Jがある第六段落は新しい例を出しています。
第五段落ではパリが「ぬるま湯」であることを空気感から説明しました。
第六段落ではどのような観点から説明されているでしょうか。
雑誌などの写真や現実のカラフルさを記述していますので、8 視覚が正解です。
第五段落と第六段落は筆者がパリ派である理由の「ぬるま湯」をそれぞれ違った観点から具体例を出して説明していることを理解できたでしょうか。
要約問題では「わたしはわかっているよ」と採点者に伝わるように書くことが重要です。
両方をしっかり並列で書き込むことが大切です。
2020年亜細亜大学国語大問2問2(経営学部、経済学部、法学部、国際関係学部、都市創造学部)の空欄J
空欄Iの解説で第六段落は視覚の観点で具体例を示している段落であることがわかりました。
であれば10 眼のあたりを選ぶことは難しくないと思います。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
問題を解くこと自体は難しくないかもしれませんが、筆者の論理構成がしっかりと掴めているか練習するのに適切な問題だと思います。
僕も実際にパリにいたことがあります。
フランスではパリだけでなくどの街へいっても同じように「ぬるま湯」です。
というか日本と違って首都のパリですらそんなに都会ではありません(フランスの中では都会なのですが・・・)。
昔からの”空気”とグローバル化した世界の”空気”が合わさるとても心地よい空間ですので、みなさんもぜひ大学生になったら行ってみてください。
それでは引き続き頑張っていきましょう。