2020年のくらしき作陽大学の過去問推薦I期A日程国語(食文化学部、子ども教育学部)を見ていきたいと思います。
この問題は読解に必要なテーマと二項対立を掴む練習のために選びました。
問題を解くことではなく、文章の構造を理解するという目的で取り組んでみてくださいね。
それではお手元に問題をご用意ください。
現代文唯一の公式=読解の3ステップ
必ず次の3ステップで読むことを忘れないでください。
本文の前半には必ずこれらが書いてあります。この3ステップを踏み間違えないように、読解ナビを穴埋めしていきます。
2020年くらしき作陽大学推薦I期A日程(食文化学部、子ども教育学部)国語第一問のテーマと対立軸
冒頭で出題者からのプレゼントを受け取りましたでしょうか。
まさか速読を意識するあまりこんなにわかりやすいプレゼントをうっかり受け取り損ねてはいないですよね。
第一文目に「最初のテーマは~というものです。」
と明言されています。
とてもやさしい出題者がちょうどわかりやすいところから切り取って出題してくれました。
これがちょっと意地悪な出題者だとこの一文目は問題に含めずに、第二段落(第二文目)から出題したことでしょう。
第二段落にも対立構造が明確に描かれてた上で、「こうした問題について、まずは考えてみたいと思います。」と書かれていますので、第二段落で提起した対立構造の補足説明をその続きの段落に書いていきますよ、ということです。
現代文読解ナビ
1 本文のテーマは(人間とロボットの違いは何か)である。
2 テーマについて(人間とロボットは区別できるという立場)と(人間とロボットは区別できないという立場)がある。
さて、第二段落まで読んだところで読解ナビの1と2を埋められたでしょうか。
序盤でまず読解の土台を組み立てられれば、後は出てくる説明が読解ナビ2のどちらの立場の説明なのか、筆者が読解ナビ2の対立のどちらのポジションなのかを探せばよいだけです。
こういった頭の整理ができるかできないかで読解速度や内容の記憶力がかなり変わってきます。
そしてそれは正答率に直結してきます。
先に問題文を見ても本文の構造はわかりません。
傍線部の周囲だけを何度も読み返しても本文の構造はわかりません。
通読しながら読解ナビを完成させる=筆者の論述を頭の中で整理するすることに勤めてください。
読解ナビは机の引き出しのようなものです。
どこに何をしまうか決まっているからこそ整理整頓できるのです。
2020年くらしき作陽大学推薦I期A日程(食文化学部、子ども教育学部)国語の筆者のポジション
第九段落で筆者は人間とロボットを区別する概念として自ら条件1~3を掲げます。
そしてその後の段落でひとつずつ説明していきます。
第十段落が条件1、第十一段落が条件2の補足説明ですね。
続く第十二段落で「ただ、この二つだけでは不十分です」と言い、条件3の自由意志が人間とロボットを区別する鍵になると説明しています。
自由意志について第十六段落と第十七段落でそれぞれロボットと人間について説明しています。
二つの段落のつながりは、「ロボット(第十六段落)、それに対して人間(第十七段落)」というつながりになっています。
「それに対して」ということなのでロボットと人間は対立(違う)ということです。
ですから筆者のポジションは人間とロボットは区別できるという立場です。
現代文読解ナビ
1 本文のテーマは(人間とロボットの違いは何か)である。
2 テーマについて(人間とロボットは区別できるという立場)と(人間とロボットは区別できないという立場)がある。
3 筆者は(人間とロボットは区別できるという立場)の側である。
2020年くらしき作陽大学推薦I期A日程(食文化学部、子ども教育学部)国語の問十
これ、とても良い問題です。
記述問題なので敬遠されがちですが、受験生がきちんと読解できていたかどうかを推し量るとても優れた問題だと思います。
先ほど見てきたように、自由意志に関して人間とロボットを対立させる内容を書けば正解です。
指定されている語句は「未知の状況」と「意志」です。
第十六段落で「未知の状況」に関連する記述を探すと、ロボットは既知の状況にしか対応できないと書いてあります。
ということは対立ですので、人間は未知の状況にも対応できるという旨をまず解答する必要があります。
もう一つの指定語句「意志」ですが、これはまさしく筆者が提示した条件3の自由意志に結び付きます。
本文中に自由意志の補足説明の表現などを借用しながら解答を作成します。
(解答例)
未知の状況においても、既知の状況によって規定されたプログラムやパターンを超えて自由意志により対応することができる。(57字)
いかがでしたでしょうか。
文章をしっかり読解できているかどうかが最後の記述問題に直結する、練習問題としてこれ以上ない練習相手になってくれた過去問ではないでしょうか。