入試のオンライン化が外国語学習を変える
東京大学の大学院入試において、新型コロナウイルスの影響によるスケジュール変更とともに、オンラインでの実施を予定している旨発表されました。
詳細については以下の記事をご覧ください。
kokugo-gendaibun.hatenablog.com
上記の記事では入試全体として暗記力を問う問題がなくなっていき、情報収集力と思考力を問う問題に置き換わっていくであろうことを書きました。
さて、本ブログでは現代文をメインに扱っていますので、ウェブ入試が現代文とどのような関係があるかを探っていきたいと思います。
現代文の入試問題自体には大きな変更は無さそう
現代文はご存知のとおりもともと暗記要素が少ない科目です。
せいぜい漢字や慣用句を聞かれることがあるくらいなので、暗記問題が消えたとしても全体の1割~2割程度でしょう。
その他の読解力を問う問題はオンラインで実施されようが変わりなさそうです。
入試問題として切り取られた部分の前後についてもウェブ上で電子書籍などを探して読むことが可能にはなりますので、前後を読めば答えがわかってしまうような問題は出なくなると思いますが、問いの立て方の話であって、本質的な部分に変更はないでしょう。
英語などの外国語科目には大きな影響あり?
実は一番大きく影響を受けるのが外国語科目(語学)ではないでしょうか。
ここでは受験生が一番多い英語で話しますが、そのほかの言語でも同様です。
日本の大学入試や高校入試の英語問題は多くは動詞の活用であったり、前置詞や代名詞の穴埋めであったり、英単語や慣用句を覚えているかを問う問題が多く出題されます。
一見長文問題として出題されているように見えて、長文の中で文法問題を出題しているだけの場合も多いのです。
穴埋め問題は出典の文章を探してくることができれば答えがわかってしまいますし、翻訳(和訳・英訳)問題はGoogle翻訳で解答できてしまう時代です。
リスニング問題だってGoogleドキュメントの機能でかなり正確に書き留められてしまいます。
そうするといわゆる暗記問題やただ英語がわかっているかだけを問う問題は出題意味を失います。
かわりに英語の現代文化が起こるのではないかと想像されます。
全てが長文問題になり、文構造を把握して筆者の論理をたどっていくことができるか、つまり読解力を問う形に変わっていくでしょう。
段落の並び替え、要約といった問題も生き残ると思います。
このような問題では日本語と英語で語順が異なることに起因する文章の展開の仕方、指示語や接続詞の関係を身につけ、的確に頭の中で情報を整理できているかを、制限字数をつけた中で英文で答えさせるなど、設問だけ見ればレベルが大きく上昇するのではないでしょうか。