近代文語文(文語体)とは何か
近代文語文とは、明治時代頃に使われていた書き言葉で当時の日本語に古文・漢文の表現が混ざったような文章です。
どうしてこのような文章形式があるのかを知るためには、言語の二つの形式を説明する必要があります。
言語には書記言語と口語言語というのがあります。
前者が文語、後者が口語です。
なんだかよくわからない気がしますが、文語は書くときに使う言葉、口語は声に出して会話する時の言葉です。
ところが日本語を普段使用していて、文字に書くときと声に出すときで違う日本語は使っていませんよね。
日本では明治時代に言文一致運動という文語と口語を同じにしようという運動が起こりました。
二葉亭四迷の『浮雲』という小説を聞いたことがないでしょうか。
これは初めて口語によって書かれた小説で、当時としては実験的な試みだったのです。
文語と口語ですが、文語は紙に筆記する文化が広まらなければ存在しえませんので、人間の本来的な言葉は口語になります。
日本では中世頃に文語が確立し、それ以降徐々に口語と文語の差異が大きくなっていったと言われています。
明治まで小説というのは勧善懲悪のような明快なストーリーがあるものを文語体で格式高く書いていくものでしたが、二葉亭四迷は都市に住む人々の日常という新しいジャンルを口語で描写するという革命を起こし、言文一致をリードしていきます。
これが明治20年のことですが、一気に言文一致が完成するわけではありませんので、第二次世界大戦終了まで徐々に進んでいき、戦後の国語教育において日本における言文一致が完成します。
文語文(近代文語文、文語体)が出される大学と文語文の受験対策
近代文語文は現代文の出題としてメジャーではありませんが、一橋大学、早稲田大学、上智大学では出題される確率が高く、過去には京都大学でも出題されていました。
口語と文語が入り混じったような融合文であればその他の大学でも出題される可能性があるでしょう。
自分の志望する大学の過去問を見て、過去に出題されていることがあれば対策をしておいた方が良いと思います。
文語文の場合は論理構造が比較的シンプルで問題自体は難しくないことが多いです。
そのため、読むことに慣れていれば、対策をしていない受験生に対して優位に立つことができます。
文語文は漢文訓読がベースとなっていますので、漢文で習うような表現も多く登場します。
そのため、漢文をしっかり勉強しておくことは文語文対策にも有効です。
文語文が読めるようになったら現代文と同じように読解により文章の構造を見抜き、その通りに問題に答えていってください。
とっつきにくいことから敬遠されがちですが、先ほども述べたように文章構造自体はシンプルなものが多いので、文語文を得点源とすることも可能といえます。
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