文部科学省が毎年行っている学校の情報化実態調査
文部科学省は毎年「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」として、学校におけるICT環境の整備状況と教員のICT活用指導力について調査を行っています。
3月1日を基準日として調査された令和元年度分調査の速報値が公表されました。
確定値は10月の発表となりますが、速報値で概況を掴むことができます。
まず児童生徒向けのコンピューター(パソコン)の整備状況を見てみます。
教職員が職務に使用するためのコンピューターを除いた、児童生徒の教育に使用するための台数です。
コンピューター1台当たりの児童生徒数は前年度5.4人だったのに対し、令和元年度は4.9人となりました。
なお、この数値は近年なだらかに右肩上がりを続けています。
これは学校へのコンピューター設置台数が増えていることよりも、児童生徒数が年々減少していることの影響が大きいようです。
今や不可欠となったインターネットの接続については、普通教室への有線LAN整備率がほぼ上限と考えられる91.2%(前年度に比べて0.3%増加)であったのに対し、普通教室への無線LAN整備率は前年度から7.3%増加した48.3%でした。
近年は無線LANでも十分な通信安定性や速度を確保することができますので、導入コストを下げながらICT化環境が整った教室を整備するのに有効であると言えます。
都道府県別に見ると、コンピューター1台当たりの児童生徒数は佐賀県が1.8人と他県の追随を許さずにトップとなっています。
3人~4人/台のレンジに熊本県、大分県、鹿児島県が入り、宮崎県と長崎県も全国平均を上回るなど九州の健闘が光ります。
熊本県と大分県は今年度の伸び率も高いです。
一方、多くの人口を抱える福岡県では今年度比較的大きな伸び率を見せましたが、引き続き全国平均を大きく下回り苦戦しています。
なお、全国で最も低かったのは千葉県の6.6人/台でした。
東京は全国平均を上回っているものの、その他の茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、神奈川県は全国平均を下回っており、関東圏でなかなかコンピューター導入が進んでいない状況が見られます。
普通教室への無線LAN整備率については、バラツキが大きく、地域ごとの特色は明確には見られませんが、最高が徳島県75.5%で最低が新潟県19.5%と落差が大きくなっています。
教員のICT活用指導力については、教員自身のICT活用能力やICT活用を児童生徒に指導する能力について問われていますが、いずれも前年度とほぼ同じとなっています。
ただし、今年度の調査は新型コロナウイルスの影響によりICT活用が加速度的に進んだタイミング以前に実施されたものであるため、次年度調査では数値に大きな変化が出ている可能性があります。