小説問題の攻略に必要な場面分けとは?センター試験を使って解説
2018年度のセンター試験国語第2問の小説問題は井上荒野さんの短編「キュウリいろいろ」から出題されました。
この問題を使って小説問題に必要な場面分けをしていきます。
小説問題の解き方の手順については以下の記事を先にご覧になってください。
受験小説の読解方法:入試の小説問題はロジカルに作られている、解き方が参考書を読んでもわからない人へ
小説の場面=意味段落=いくつかの段落の集まり
文頭が一文字下がっているところがありますね。
次に一文字下がっているところまでのひとまとまりを段落と言います。
一つの段落は短いものでは1文~2文など細かく分けられています。
この段落がいくつかまとまって一つの大きな意味段落を形成します。
小説の場合は一つの場面が一つの意味段落に該当します。
場面とは何かというと、映画や舞台のワンシーンだと思ってください。
登場人物がいる場所、カメラが映している場所が同じであれば、それは一つの場面です。
早速2018年度(2019年)センター試験の過去問を見てください。
いくつの場面から構成されているでしょうか?
センター試験の小説問題では概ね4~5つの場面に分けられる
問題文として出題されているシーンは息子と夫に先立たれた郁子がビールを飲みながらお盆のキュウリの馬を作っているシーンから始まります。
作った馬を本棚の息子と夫の写真の前に置く様子が書かれているので、自宅の場面でしょう。
しばらく郁子の回想シーンが続きます。
ここから場面が変わるとすれば、郁子が外出するか、誰か来訪者が訪れるか、時間が大きく進むかとなります。
第13段落と第14段落の間に空白がありますので、自明ではありますが、第14段落は郁子が外出して電車に乗っているシーンに代わります。
ここで一つ目の場面の切り替わりがあります。
電車に乗っていて移動しているのですから、次に場面が変わる=撮影カメラが変わるのは電車を降りたシーンまたは社内の状況が変わるシーンでしょう。
車内のシーンが変わるというのは混雑状況が変わるとか、事故などで電車が止まる、誰かに出会うなどが考えられます。
第18段落を見ると途中の駅で多くの乗客が降り、社内がすいた様子が描かれています。
車内に余裕ができたことで、郁子はバッグの中から夫の写真が入った封筒を取り出します。
ここが二つ目の場面の切り替わりです。
先ほどの切り替わりと異なり、空白はありませんが、場面の切り替わりにかならず空白が挟まれるわけではありません。
最後の場面は第23段落から始まります。
郁子が電車を降り、地元の街を見て回る場面です。
出題部分は郁子が若かりし頃の夫の幻を見る様子で終わります。
センター試験では小説の場面に一つずつ問題が出題されている
さて、問題として使われている傍線部A~Dが引かれている位置を確認してください。
先ほど4つに分けた場面ごとに引かれていませんか?
小説では場面ごとに主人公を中心とした登場人物の気持ちが動いていきます。
ですから、場面に一つずつ設問を設けるのはとても理にかなった方法です。
試しに問2を解答してみると・・・
せっかくなので問2を解答してみましょう。
場面は郁子が自宅で夫のことを回想している様子が描かれています。
この中で、郁子と夫の俊介は表面上ではからかう様子であったり、怒りを見せる様子があっても、心の中ではお互い仲睦まじかった様子がわかります。
表面的には対立するような様子を見せても、心の中では通い合っている。
問題はその場面の主人公の心情を聞きますので、この郁子と俊介の心の通い方を表しているのは③ですね。
①は「憎らしく思っている」が×
②は「後ろめたさ」が×
④は「皮肉交じり」が×
⑤は「困ったように」が×です。
これは傍線部が引かれている「苦笑い」という言葉そのものですね。
苦笑いとは本心と表面に出てくる感情のギャップを表す笑い方ですね。
単語の意味から解説をすることは簡単ですが、難しい単語が使われている場合は途端に解けなくなってしまいます。
場面の中で描かれていたことが正答の選択肢になりますので、場面に区切って読むという習慣をつけましょう。
傍線部の前後だけでは正確に掴めませんし、闇雲に全体から探しても迷ってしまいます。
しっかり場面を分け、その場面内を良く読むことが正答への道です。
読解方法のコツを掴んだあとは問題演習で実力アップ
小説問題における意味段落=場面という構造は理解できましたでしょうか。
読解方法のコツがわかったら練習して実力アップを測りましょう。
小説問題は参考書や問題集が多くありませんが、次の記事で厳選して紹介していますので合わせてご覧ください。
kokugo-gendaibun.hatenablog.com