注意していてもしてしまうケアレスミス
いつの時代も受験生を悩ませるのがケアレスミス。
解けたと思っていた問題も後で答え合わせをしている時に問題文の読み間違いや勘違いなどに気付いで痛い思いをした経験があるのではないでしょうか。
実は現代文はケアレスミスの宝庫です。
いえ、むしろ現代文の間違いは全てケアレスミスから発生していると言っても良いかもしれません。
現代文とは出題された文章の中に全て答えがあります。
そこに書かれていないものは正答になり得ません。
というとは出題された文章中の全ての情報を集めてくれば答えを導き出すことができますし、集めそびれてしまった情報があればそれはケアレスミスとして間違いに繋がっていくのです。
ところが現代文の問題の情報量と、その他の科目の問題の情報量を比べてみてください。
数学や理科など他の科目であんな情報量の多い問題は出題されませんよね?
英語の長文であっても、現代文の文章の長さには及びません。
また、現代文の場合は、歴史の論述問題のように予め答えを想定しておくことができないため、全て試験時間中に時間が限られた中で情報収集しなくてはならず、見落とし=ケアレスミスが発生しやすくなっています。
現代文でケアレスミスを防ぐ方法
ではどうすれば現代文でケアレスミスを防げるでしょうか。
その方法は現代文の書かれ方を知る、ということです。
書かれ方というのは構文のようなものです。
現代文の場合は英語の構文のように主語・動詞・目的語と順番が決まっているわけではありません。
しかしながら必要な要素が概ね一定の順番で並んでいます。
評論文(論説文)であればまずテーマが設定され、どのような話題をどのような観点で論ずるかが示されます。
次に二項対立が作られ、それぞれの具体例や補足が述べられます。
その後筆者がどちら側のポジションを取るのか、筆者の主張が述べられます。
筆者の主張は二項対立の前に来ることもあります。
小説であっても、まずは場面が設定され、登場人物の関係が描かれ、場面展開ごとに主人公を中心とした登場人物の感情が移り変わっていきます。
登場人物の心理は背景となる場面とシンクロしながら動いていきます。
このような文章の書かれ方を知り、あらかじめファイティングポーズを取って読み進めることで、一つ一つの情報を的確に捉え、頭の中でそれぞれ納めるべきところに整理して体系化することができます。
こうして体系化されていれば、回答作成中に一度書き忘れてしまっても、途中で違和感に気付き、回答に追加したり、不安があれば出題された文章を読み返すなどケアレスミスを防ぐことができます。
大学生や社会人になっても実力として使える現代文読解力
大学生になると一コマの授業時間は一般的に90分です。
また、高校生までの授業と異なり、教科書に沿って進めて行く形式ではなく、明確なテキストやプリント無しで先生が講義をしていくケースも多くなります。
こうなると現代文の受験勉強で鍛えた情報の整理力、そして主張を見抜く力が生きてきます。
先生が今話しているのが大枠のテーマになのか、二項対立なのか、具体例なのか、それとも先生が一番伝えた授業の重要なポイントなのか。
受験問題と違い、講義では先生のペースでどんどん進んでしまい、後で読み返すと言ったこともできませんので、実は受験現代文よりもレベルが高いかもしれません。
社会人になっても同じです。
仕事をしていく上では様々な会議があり、顧客の要望を聞く場面があり、そういったコミュニケーションの場でうっかり勘違いをしてしまうとプロジェクトの進捗に影響が出たり、顧客からのクレームに繋がってしまいます。
何の会議であって、参加者の間でどこが対立しているのか、そして具体的にはどのような点に摩擦があるのかを整理していくことで、解決策も見えてきます。
顧客からの要望も聞き取った情報をしっかり整理して相手の困っているポイントを見抜くことが必要です。
よく学校で習ったことは社会に出てから使わないと言われます。
確かに社会に出てから現代文の問題を解くことはありませんが、ある意味毎日が現代文で培った力の応用です。
現代文というのは母語である日本語の運用能力を試す試験ですから、数ある受験科目の中でも最も汎用性があり日々の生活の中で使われている科目なのではないでしょうか。