生きていくうえで勉強することにどんな理由があるのか
いろんな科目の勉強をしていて、公式を覚えたり、問題を解いたりしている中で、「これって社会で生きていくうえで必要なくない?」というのは僕自身も思っていました。
実際、お父さんお母さんを始め、周りの大人の人を見渡しても、学校で教わるようなことを仕事や生活で使っているという人は見当たりません。
社会に出て学校で習ったような知識を使うのは研究をしている大学の先生や、メーカーで新しい製品の開発をしている人など一部の職業に限られると思います。
それも自身の得意分野のみの知識を使っていて、英数国理社その他の知識をまんべんなく使うという人はいないでしょう。
そうすると勉強というのは受験のためだけに強制されているように見えてしまって、なんだかやる気がなくなってしまいます。
なぜ勉強するのか?
それではなぜ小学校から中学校までの義務教育9年間、そして高校から大学まで合わせると16年間もの間勉強をするのでしょうか。
それはものの考え方を身につけることが長い人生を生きていくうえで大切だからです。
例えば数学で因数分解を習います。
これは物事を要素に分解して考えるという力を養います。
また、数学で証明の問題を勉強しますが、これは仮設を縦ながら物事を考えていく力を養います。
部活を例にすれば、例えばあなたが今バスケ部に入っていて、次の大会でライバル校に勝つ方法を考えています。
過去の対戦実績から、相手に勝つための要素をスリーポイントの成功率を上げる、ターンオーバーを減らす、ディフェンスリバウンドを上げる、など要素を因数分解します。
そしてバスケは対戦競技ですから、相手がどのような選手が出るか、どういった戦術を取ってくるかを仮定し、どうしたら勝てるかを証明問題のように検討します。
こうすることで必要な練習やどのくらいまで高めればよいかが見えてきます。
社会に出たあとの仕事に置き換えてみましょう。
ビジネスプランを作る時に、そのビジネスにはどういった要素があるのかを考え、それぞれについて検討することが必要です。
そしてこれから始めるビジネスの結果は誰もわかりませんが、仮定を置きながら論証していくことで、ある程度の推定をすることが可能です。
こうして明らかになったビジネスのメリットやデメリット、売り上げ見込みなどをもとに実際に実行するかどうか、実行するならどうするか戦略を立てることができるのです。
このようなことは理科や社会でも同じで、例えば社会で歴史を習う大きな目的の一つは、みんなが今生きている世界がどのように作られてきたのかを学ぶというのもありますが、
過去にどのようなことがあったのかを理解することで、将来新しい局面になったとき、過去に学び、これから世界がどのように動いていくのか予想をしたり、来るべき新しい世界に備えることができるでしょう。
現代文を勉強する意味
僕は現代文はすべての科目に共通するとても基礎的な能力を養う科目だと考えています。
他の科目がそれぞれスペシャリストだとしたら、現代文はオールラウンダーです。
その反面ちょっと地味だったり、「日本語なんだからできて当然でしょ」と少し優先度を下げられてしまったりもします。
その前に現代文は何を身につける科目でしょうか?
それは決して今言論界のトピック(大学の先生等が研究している内容だったり、世の中の最先端のことについて本などで話題にされていることです)について知ることではありません。
ましてや指示語や傍線部の言い換えを選択肢から探して消去法で答えを選ぶちからでもありません。
それは自分以外の人が考えていることを理解する力を養い、同時に自分の考えを説明する力を養うことです。
仕事の場面を考えてみましょう。
今あなたはあたらしい製品の開発チームに入りました。
先にプロジェクトを進めていたメンバーからその製品に関する資料を渡されて読んでいます。
その資料にはおそらく、どんな役に立つ製品なのか、製品の市場はどのくらいの大きさで、他社の競合製品にはどのようなものがあり、あなたが今開発しているのはどういった特徴があって、どれくらい売れそうなのか。
そしてメンバーたちはなぜその製品を開発したいのか。
そんなことが書いてあると思います。
こういった全体のストーリーを瞬時に把握できる人というのは実はとても少ないです。
みんな資料を読めな何かしらわかったような顔をしていますが、例えば他社の競合製品について書かれていたところばかりに気を取られてしまって、自分たちの製品がどんな役に立つとか、なぜメンバーはその製品を開発したいと思っているのか、読み飛ばしてしまうかもしれません。
こういった全体の構成を捉える力をつけることこそ、このブログで伝えたいことです。
このブログの解説風に言えば、
どんな役に立つ製品なのか=テーマ
他社の競合製品=対立側の補足説明
なぜメンバーはその製品を開発したいのか=筆者のポジション
です。
資料を読んだり、ミーティングをしていてすぐにこういった構成を捉えることができれば、あなたはきっと活躍できるでしょうし、そういう人が多いチームはきっと素晴らしい製品を世に送り出すでしょう。
資料の作り手側になっても同じことです。
相手に自分の考えをしっかり理解してもらえる資料が作れることになりますよね。
もう一つ付け加えたいと思います。
世の中の仕事というのは、プランを考える人、プランを実現するためにマネジメントをする人、実際の作業をする人に分かれます。
プランを考える人は先に述べたような相手に論理的に説明する力がある人でないと務まりません。
また、仕事は多くの関係者がいて、相手の課題を解決してあげる対価としてお金をもらいます。
相手がどんなことをSOSとして発信しているのか、今どのような状況なのかをしっかりと理解できる必要があります。
どれだけ素敵なアイデアを見つけられるかとか、ち密な分析ができるかとかは他の科目の力が役に立つかもしれませんが、
それを伝えたり理解する力は現代文で養うことができます。
全体を見渡して項目を分類わけして頭の中で整理していく。
現代文の文章を読むときはまさにこういった頭の使い方をしています。
これができると見たり聞いたりしたことの内容を忘れにくくなりますし、入試の面接や会社の就職試験でも落ち着いて話せるようになります。
目立たないけれど広く使える大事な力なので、ぜひ現代文を得意科目にしてくれる人が増えるといいなと思っています!