背景に学生の不満、海外ではクラスター発生も
萩生田文部科学大臣は8月に入ってから、大学後期における対面授業の再開を度々呼び掛けています。
感染防止策を十分に取った上で、可能な授業はオンラインから対面に移行すべきとの考えです。
これには立命館大の学生新聞が行ったアンケートで、1割程度の学生が秋学期以降の退学を検討し、休学を検討している学生はなんと約4分の1に上るなど、新入生である大学1年生を中心に大学への不満や不安が高まっていることなどが背景にあると考えられます。
広い範囲からの通学や大規模授業等、大学は新型コロナウイルスの感染可能性を高めかねない要素が多く、なかなか通学および対面授業の再開に踏み切れない状況です。
国内のマンモス大学でも対面授業再開の検討を進めている大学はありますが、海外の事例では対面授業を再開した結果、感染者のクラスターが発生し、対面授業の再停止に追い込まれた例もあります。
ノースカロライナ大チャペルヒル校、アメリカ・インディアナ州のノートルダム大学などでは対面授業再開後ほどなくして100人超のPCR検査陽性が確認され、対面授業停止に追い込まれています。
このような流れを見て、ミシガン州立大学も対面授業の再停止を決めています。
欧米の大学では9月以降もオンライン授業を続けるところが多い状況です。
文部科学省は対面授業再開の好事例を紹介
文部科学省のウェブサイトには対面授業を再開した好事例として国公立2大学、私立4大学が紹介されています。
山梨大学では学生を少人数グループに分け、修得内容ごとにオンライン授業と対面授業を組み合わせる、実験などで教員が一部事前に準備し、所要時間を短縮するなどの工夫をしています。
宮城大学では入退館の動線分離、換気機能向上のための改修、固定机や椅子を撤去し移動可能にするなどの対応を行っています。
私立大学では千葉工業大学、エリザベト音楽大学、同志社大学、関西国際大学が紹介されています。
エリザベト音楽大学では音大ならではの実技科目における工夫が見られます。
関西国際大学ではオンライン・対面を学生自身が選択できる方法を実施しています。
萩生田文科大臣は8月11日の会見以降、度々後期からの対面授業再開に言及し、大学などに詳細な調査を行うとともに、9月中旬までに対面授業再開に必要な措置を示すとしています。