共通テスト対策はここから、小説の書かれ方と問題の作られ方
小説問題(文学的文章)で苦戦している受験生に、大学入学共通テストの国語第二問は小説の読み方さえ知れば一気に得点源にできることを知ってほしく、オリジナル参考書&問題演習を作りました。
受験テクニックに時間を浪費することなく、「そもそも小説ってどうやって書かれているの?」「共通テストの問題はどうやって出題されているの?」を知ることで、苦手意識を無くし、小説で得点を取れるようにします。
小説問題の読解方法を解説した後、共通テスト(センター試験)の1年分の過去問を使って実践的に学びます。合計45ページ。noteにて公開中です。
大学入試小説問題の受験対策とは?
受験勉強における小説の読解方法について解説します。
(小説を普段読まず、小説独特の言い回しなど語彙力が不安な方は次の参考書などで勉強をしてから読解に入ってください。有名予備校駿台の現代文人気講師が書いた参考書で、共通テストに対応しておるので共通テスト受験者必読です。⇨生きる現代文 随筆・小説語句)
ここでの解説はあくまで入試問題を解くための小説の読み方です。
国語という教科で小説を習うのは、もちろん豊かな感性を養うとか、自分とは異なる人の感じ方を学ぶとか、古い小説であればその小説が書かれた時代の背景を学ぶということもありますが、
近代小説という一つの文学の書かれ方を学び、日々の基礎的な読解力を身に付けるとともに、大学で文学を研究する場合の基礎的な素養を身に付けるということもあります。
大学入試は大学に入学した後に勉強していく力があるかどうかを図る物差しですから、個々の感性というよりは、客観的な学力を問うていくことになります。
ですので、小説がどのようなルールに則って書かれているのかを知り、入試問題がどのように作られるのかを知ることが攻略の最短ルートとなります。
「現代文はセンス」と言われることがあります。これが「センス=感性」を指しているのであれば、現代文はセンスではありませんし、小説も当然センスではありません。
皆さんが普段小説を読むときと入試の小説の読み方は別物だと思ってください。
現代文とセンスについては次の記事もご覧ください。
現代文高得点に必要なセンスとは何か?現代文のセンスは勉強で身に付けることができる。【入試国語勉強法】
巷にあふれている「小説読解のコツ」に足りないもの
小説読解の方法が知りたいと思って調べれば、多くの解説を見つけることができます。
ですが、そのほとんどが役に立たなかったと思っている方も少なくないのではないでしょうか。
「感情移入しすぎない」「心情を追う」「場面設定やキャラクター設定を把握する」「物語の背景にあるテーマを考える」など様々な”コツ”が叫ばれていますが、
これらは全く役に立ちません。
なぜなら「どうすればそうできるのか」という方法論が書かれていないからです。
おそらくこういった”コツ”を受験対策として解説している人は、意識しなくともスラスラ小説が読めてしまう優秀な人か、本当は入試の小説が理解できていない人のいずれかだと思います。
「敵を倒すには敵を知ることから」ではありませんが、入試の小説問題に取り組むためには、出題者がどのように問題を作るのかから逆算して対策しましょう。
入試小説問題の解き方1:とにかく主人公を把握する
入試に出題される近代小説では一人の主人公がいて、その主人公を中心に物語が展開されます。
入試問題ではこの主人公の心情変化を問う設問がほとんどです。
問題文では主人公を取り巻く環境の変化やその他の登場人物について聞いているように見えても、実際は登場人物の心情を聞いています。
ですので、問題を解き始めるにあたって、まず主人公がだれなのかを確認してください。
そしてその他の登場人物はそれぞれ主人公とどのような関係にあるのかで整理をしてください。
主人公は必ず冒頭に出てきます。
長い小説の一部分を切り取って入試問題は作られますから、受験生がすぐに物語の状況を把握できるよう、出題者はキリの良い箇所を探して切り取ってきます。
逆に主人公がなかなか登場しないような切り取り方をしている場合は、いたずらに問題の難易度を上げるだけで、良問とは言えません。
入試小説問題の解き方2:場面が変われば心情が変わる
主人公を把握したら、次は段落分けです。
段落分けと聞くと論説文/評論文の解き方のように聞こえますね。
その通りです。
小説にも形式段落と意味段落が適用できます。
小説では場面を変えるときに形式段落を変えます。
ですので段落が変わったら場面が変わったサインですので、どのように場面が変わったのかを意識してください。
形式段落ごとの場面変化は小さく、大きく場面変化している場合は意味段落の変化と捉えてください。
例えば野球の部活動をしている主人公の物語がある場合、教室での授業シーンから廊下での友人との会話シーンは小さな形式段落の移動、週末の部活の大会のシーンに変わったら大きな意味段落の移動です。
逆に捉えると、読んでいて場面変化がわからなかったとしても、段落の移動は作者からの「場面が変わったぞ」というメッセージです。
作者は無造作に段落を変えているわけではありませんので、メッセージをしっかりと受け取るようにしましょう。
入試小説問題の解き方3:主人公の心情は場面に表現され、場面に連動する
主人公を把握し、場面変化を理解したら、心情を読み取る準備は整いました。
近代小説では、主人公の心情は場面に表現されます。
土砂降りの雨が降っていたらきっと主人公の辛い気持ちを表しますが、もしその雨がやんで日の光が差し込んでくるような描写があれば、主人公の気持ちが上向いてきていることを表します。
土砂降りの場面なのに、主人公が希望に満ち溢れているということはありません。
もしあるとすれば、主人公の持ち物や、道に咲いている花などで小さいながらも光る物が描かれているはずです。
形式段落は小さな心情変化、意味段落は大きな心情変化となります。
先ほどの野球をやっている主人公の例では、例えば日常の学校生活で授業中に先生から注意されてしまったり、友人とちょっとした喧嘩をしてしまったりとネガティブな心情情の中での変化が形式段落で描かれ、
週末の部活の大会の場面に意味段落が変わると大活躍してチームメイトや監督から褒められるなどポジティブな方向へ大きく主人公の心情が変化します。
設問は意味段落に一つずつ置かれます。
特に旧センター試験(現大学入学共通テスト)ではこの傾向が強いです。
意味段落ごとの大きな心情の変化が理解できているかを中心に、意味段落の中での形式段落ごとの細かな心情の変化が理解できているかも補足的に聞いてくるのが入試の小説問題です。
場面から心情を読み取るのに感性やセンスは不要です。
場面の明暗、その他の登場人物との心の交流の有無など、一つ一つはわかりやすく表現されます。
個々の場面の理解があいまいなまま読み進めてしまうと心情の変化を追い切れず、その理由を感性やセンスに求めてしまいがちですが、大学入試は感性やセンスがある人を見抜くための試験ではありませんので、入試の小説問題とは何かを知り、受験勉強を進めてください。
小説問題演習は過去問とおすすめ参考書で
小説問題の読解方法を説明してきましたが、問題演習をこなして自分でも確かめてみてください。
当ブログでも入試過去問を使って解説しています。
kokugo-gendaibun.hatenablog.com
また、厳選したおすすめの参考書もご紹介しますのでご活用ください。
kokugo-gendaibun.hatenablog.com